老齢犬の眼瞼、結膜の腫瘍

2014年12月25日

眼瞼や結膜の腫瘍は、老齢犬に比較的おおくみられる疾患です。

腫瘍の治療では外科治療が基本となると思われますが、麻酔や費用の問題で手術が見送られることもあります。

今回、ご紹介する症例は2症例とも結膜の腫瘍で、外科的治療や凍結療法で対応した症例です。

ペット高齢化のため、手術ができる症例、手術ができない症例それぞれに対応しなければいけない時代ですね。

症例1 雑種犬 17歳 オス(去勢未) 右上眼瞼のマスで来院

 914_4758_20130123111646.0 上眼瞼に大きなマスが確認される

914_4753_20130123150608.0 マス表面の線香花火状の血管新生

914_4926_20130219103348.0 全身麻酔下にてCO2レーザーで切除行った。

病理検査では上皮性悪性腫瘍が疑われ、抗がん剤点眼を行った。

 

症例2 雑種犬 16歳 メス(避妊済) 上眼瞼結膜のマス

152_10848_20141028103254.0 約4mmのマス オーナーの希望もあり局所麻酔下でクライオサージェリを行う

152_10911_20141104110824.0 1週間後の様子(かなりマス病変の縮小が確認できる)

152_11185_20141202113644.0152_11184_20141202113900.0当院で用いている凍結療法のクライオです。

                           ガス圧などの設定も不要で、非常に使いやすいです

 

 

 

 

 

 

カテゴリ:眼科診療 | タグ:

急性の眼球突出を示した唾液腺嚢胞の犬の一例

2014年11月24日

今回の症例は前回の症例に引き続き、眼球突出を示した犬の一例です。

初診時、瞬膜の突出で来院され、眼エコー検査で眼球後部に圧迫を加えている嚢胞状の構造物が確認されました。(図1)

鎮静下で精査を行うため、翌日来院されましたが著しい眼球突出を示していました。(図2)

口腔内、後臼歯付近に波動感があり、大量の液体が貯留していると思われ、そこから針を刺入し、内容物を抜く処置をしました。(図3)

内容物は非常に粘稠性が高く、排出にやや手こずりましたが、処置後には眼球は正常の位置に復しました。(図4)

その後約一年以上経過しますが、再発はありませんでした。

診断としては、眼球横に位置する唾液腺(頬骨腺)からの分泌液の貯留による眼球突出としました。

頬骨腺の唾液腺嚢胞の原因は、外傷、唾液腺の炎症、口腔内疾患があります。飼い主さんのお話では、初診日の前日にテーーブルに顎を強打したとの事でしたので、おそらく今回は外傷性の原因と思われます。

眼球突出には様々な原因が考えられますが、特に有効な検査として、眼超音波検査があげられます。

眼疾患は血液検査はもちろん、基本的な眼科検査をしっかり行うことが改めて重要と思われました。

610_6302_20130805094953.0(図1.眼球の突出は軽度で、瞬膜の突出が認められた。)

610_6328_20130806145020.0(図2.翌日の写真 著しく眼球が外側に変位)

610_6333_20130806152544.0(図3.波動感が感じられる部位で切開を行い、内溶液を除去)

610_6334_20130807091014.0(図4.切開処置翌日の所見。眼球がほぼ正常位置に戻る)

610_6305_20130805093822.0(初診時の超音波所見ー眼球後部に液体を含んだと思われるマス病変が認められる。)

 

 

 

 

 

 

カテゴリ:眼科診療 | タグ:

全身症状と眼疾患の関係

2014年10月27日

白内障や緑内障など眼科特有の疾患もありますが、全身疾患を眼の症状から疑うこともできるのが眼科の面白いところではないかと思っています。組織の炎症反応が強い場合、ぶどう膜という眼内組織に影響が表れ、房水(眼の中を流れている水)中に炎症細胞などが流入し、房水の混濁(眼フレアーと表現される)などがみられることがあります。また角膜の内側に、炎症細胞が付着する現象(KPとも言われる)などが確認できます。眼はこころの窓とも言われますが、体というのはいろいろなところにサインを出しているんですね。

 

症例は10歳ウエルシュコーギーで、眼球の突出、食欲元気がない、目をしょぼつかせるとのことで来院しました。

眼科検査では前房フレアー、角膜後面沈着物(KP)、結膜の充血、左眼の突出を認めました。

一般状態が急速に悪化し、確定診断はできませんでしたが、前房穿刺によりリンパ球様の細胞が採取されたため、リンパ腫などの腫瘍性疾患が疑われました。残念ながら数日後にワンちゃんは亡くなりました。

もちろん眼科検査だけの診断には限界がありますが、時には他の検査と同様な情報が得られると思われます。

図5 黒い点状のものが角膜後面沈着物(KP)

図6 左眼の突出が認められる。

図4 眼球下部に角膜の浮腫およびKPを認める

 

 

 

 

カテゴリ:眼科診療 | タグ:

ACVO(in Dallas)に参加して

2014年10月20日

3泊4日とタイトなスケジュールでアメリカ眼科学会に参加してきました。

今回は、最終日にあるオキュラーサーフェス部門での口頭発表が最大の目的でした。

英語での発表は今までにないくらい(吐気を催すほど)緊張しましたが、無事終了しました。

これからの課題などがみえた有意義な海外出張でした。

是非、機会があればまた参加したいと思いました。

ACVO Dr.kitamura_1 ACVO 2014.10.12

 

 

カテゴリ:眼科診療 | タグ:

犬の義眼(シリコンボール挿入術)について

2014年9月27日

 緑内障により視力を失い、慢性的な痛みや、著しく眼球のサイズが大きくなった結果、痛みの除去や美容的な解決策として眼球内容物の摘出およびシリコンボール挿入術が選択されます。眼球のサイズは犬種や体重などにより大きさが異なりますので、挿入するシリコンもさまざまな大きさの種類があります。挿入後は非常に快適に過ごせることが多く、飼い主さんの満足度も高い手術と思われますが、術後涙液量の低下がみられ、慢性的な目やにの分泌が多くみられる症例も実際は見られます。

DSCF4440

写真は10歳のM.ダックスフンドで、水晶体起因性ぶどう膜炎から緑内障、網膜剥離を起こしたワンちゃんです。

点眼薬で管理を行っていましたが、突発的に眼圧が上昇し、痛がるということでシリコンボール挿入術を行いました。

術後はワンちゃんの不快感もとれ、快適な生活を送っています。

1633_9642_20140612184515.0手術前(前房出血、眼圧の上昇がみられた)

1633_10627_20140926161907.0術後4か月(比較的角膜の白濁も少なく、経過は良好)

 

 

 

 

カテゴリ:眼科診療 | タグ: