猫の急性角膜水腫の一例

2016年12月25日

猫の急性角膜水腫は比較的若い猫に多くみられ、角膜の形状に大きく変化が見られる疾患です。はっきりとした原因は不明ですが、感染性、薬剤性、角膜内皮異常またはぶどう膜炎が考えられています。

治療は結膜被覆、瞬膜被覆、眼瞼縫合が有効とされ、適切な時期に治療が行われない場合、角膜穿孔に至ることがあります。

今回の症例は、約2ヶ月のオス猫、急に目が大きくなってきたとのことで来院しました。

治療は瞬膜被覆と眼瞼縫合を行い、比較的良好な結果が得られました。

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免疫介在性眼瞼炎の犬の1例

2016年6月14日

眼瞼の炎症の原因には様々なものがありますが、ステロイド療法に敏感に反応する免疫介在性と思われる眼瞼炎の症例に遭遇する事が時々あります

。犬種はチワワ、プードル、パピヨンに多いと思われます(エビデンスはありませんが)。

両眼でみられることが多く、著しい眼脂、結膜浮腫、腫脹、充血が主な所見で、好中球を主体とした炎症像がみられます。治療はステロイド内服、点眼が行われ、時には免疫抑制剤も併用されます。

今回の症例はポメラニアン、雌(未避妊)、7歳、室内飼、両目の眼瞼の腫脹で来院しました(写真1、2)。初診時は、著しく不快感を呈し、眼瞼部結膜の腫瘤状の腫脹がみられました。眼検査の結果、免疫介在性眼瞼炎と診断し、ステロイド内服、点眼を行いました。治療後速やかに改善がみられますが、投薬量の減少や休薬に伴い再発(写真3、4)がみられました。その後、激しい炎症は収まりましたが、マイボーム腺機能不全、角膜結晶状沈着(角膜変性)を発症し(写真5、6)、ヒアルロン酸点眼などで管理を行っています。繰り返し起きる眼瞼炎の経過観察は非常に重要であると思われた症例でした。

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ネコの眼内腫瘍の一例

2016年4月23日

ネコの眼内の腫瘍は10歳以上のネコの虹彩や毛様体に多く発生がみられます。

品種や性別には差がないとされていて、広汎性黒色腫が最も多いと思われます。

症状は、虹彩の色調の変化(左右同じ色だったのに黒っぽくなってきた)や、瞳孔形状の変化や運動性の変化(環境の明るさによってあまり瞳孔の形が変化しない)などの初期症状がみられます。ゆっくり進行することが一般的ですが、眼内の出血が始まると急速に眼球の拡大がみられるようです。

今回の症例は、10歳、雑種のメス猫の眼内悪性メラノーマの一例です。数日前から眼球が大きくなってきたため来院されました。初診時の所見は著しい眼球拡大を呈し、正常な瞬きができない状態でした。超音波検査により、眼内腫瘍が強く疑われたため、眼球摘出術を行いました。病理検査では眼内悪性メラノーマで、長い年月を掛けて転移する可能性がある腫瘍との病理診断所見でした。

 一般的に眼球摘出術は臨床的にはどの施設でも行われている手技ではありますが、当院では約8年前からシーリングシステムを用いて眼球周囲の血管を止血し、切除を行っています。大きな血管ないと理由から、止血パウダーや軟膏を大量に眼窩内に入れ、止血を行うこともあるようですが、シーリングシステムを用いる事により、止血確認がしっかり行えるためこの機器の有用だと私は考えています。

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瞬膜腺逸脱(チェリーアイ)の犬の1例

2016年1月19日

瞬膜腺の脱出、別名チェリーアイは比較的若い犬に多く、罹患犬種があり、片側性あるいは両側性の事もある疾患です。原因は主に、瞬膜腹部と眼窩周囲組織との接着不全と考えられています。この症状をみて、慌てて来院する飼い主さんもいますし、特に強い痛みを示さないため、そのまま様子を見てしまう飼い主さんもいます。今回の症例は、長年経過観察を行ってしまった犬の瞬膜腺逸脱にみられた角膜潰瘍の犬の一例です。

数年間、瞬膜の脱出がみられたため、瞬膜の復位に時間がかかりましたが、手術後速やかに角膜潰瘍は治癒機転にはいり、その後再発などはみられません。

瞬膜の脱出は正常な瞬目を妨げ、角膜の涙液被覆障害を引き起こすとされています。今回の症例もその典型例と思われ、瞬膜の脱出はできるだけ早く整復するべきです。

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