広範囲な犬の細菌性角膜潰瘍の1例

2015年8月31日 犬やネコでは、急速な角膜の融解によって角膜穿孔がおきた結果、視覚温存ばかりでなく、眼球そのものを残すことができなくなる事があります。角膜の融解には、様々な原因によって角膜上皮の崩壊が最初におきた結果、コラゲナーゼやMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)が産生され活性化し、激しい角膜実質の融解が起きるとされています。内科的には、抗コラゲナーゼ薬とされる自己血清点眼、テトラサイクリン系薬の投与などが行われます。しかし、融解に向かっている病態を止めるのは容易ではなく、外科的な対応が迫られることもしばしばあります。それらの方法には、角膜移植、結膜移植、各種バンテージを用いて角膜の修復を行います。当院では、広範囲な場合、結膜フラップが主に用いている手技です。 症例は、12歳雌のシーズーの左眼です。眼の不快感、角膜中央部の白濁のため来院しました。角膜擦過標本では、多数の細菌、角膜上皮がみられました。そのため、抗生剤の全身投与、頻回点眼、自己血清点眼を行いました。しかし翌日、角膜実質の広範囲な融解がみられ、いつ穿孔してもおかしくない状況になりました。そのため、結膜組織を用いて角膜実質の再構築促進の目的で、帯状結膜フラップを行いました。幸い、移植後は良好に経過し、眼球組織の温存は可能であった症例です。 角膜潰瘍1 初診時所見 角膜潰瘍2 細菌と角膜上皮がみられる 角膜潰瘍3 広範囲な角膜融解像 角膜潰瘍4 結膜被覆術及び眼瞼縫合を行った。 カテゴリ:眼科診療 | タグ: