第1回 犬のドライアイについて

2014年5月21日

 私たちの生活の中で、ドライアイという言葉は比較的よく聞かれ、白内障と同じくらい認知度が高い疾患だと思います。では、【層別治療】という言葉はご存知でしょうか?涙は大きく分けて油層と液層で構成され、2つの層が絶妙にバランスをとりながら、目にとってのベストな環境を作りだしています。その2層どちらかに異常がきたしても、ドライアイにつながります。つまり、どの層に問題が生じているか?を調べ、治療をしていくことを層別治療といいます。医学分野では浸透してきていますが、犬や猫ではまだ不明な点もあり、しっかりした検査も行われないことも多く、応用されているとは言えません。

 今回の症例はドライアイの12歳シーズーの眼の写真です。当初、膿性の眼脂、涙液の減少がみられ、抗炎症剤の治療により涙液量の回復がみられましたが、しかし、流涙という問題が残っています。流涙は涙液の漏出が起こるため、結果的にドライアイをひきおこすため治療が必要です。眼科検査の結果、涙液の漏出を防ぐ役目をするマイボーム腺という眼瞼の周りにある脂腺に問題があることがわかりました。現在は眼瞼縁の清掃、点眼療法により管理を行っています。この症例のように、以前までは犬猫のドライアイ治療は涙液量の改善が優先されていた治療が、現在では少しずつ涙液の質に対しての改善も行われるようになりました。ヒトと同じように、犬猫のドライアイ治療は新しい時代に入ってきたと思われます。

 

〈初診時〉

  • 涙液量の低下、角膜混濁、眼脂、眼瞼腫脹がみられる
  • 抗生剤、各種点眼剤、抗炎症剤、眼瞼縁の清掃により治療

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〈治療後6か月〉

涙液量の回復、角膜の透明性の改善などが得られたが、流涙がまだ若干見られます。マイボグラフィ検査などの結果、涙の漏出を防ぐマイボーム腺の機能不全が考えられる状態と思われ現在治療継続中。
この症例のように、ドライアイに関する治療、管理にはほとんどのケースで長期管理が必要です。

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